前立腺癌の手術をしました。

 

1 癌告知から手術前まで

1994年5月尿が出なくなり、東京都町田市のあけぼの病院で、泌尿器科の診察を受けた。肛門からの前立腺の触診、尿検査、血液検査、膀胱腎臓のレントゲン検査等の結果、前立腺癌の疑いがあるとの診断だった。詳しい検査の必要があるとのことで、北里大学病院泌尿器科の穎川先生を紹介された。
2週間後大学病院でエコー検査と前立腺の組織を7個所から採取した。次の診察で、生検の結果から、前立腺に癌がありかなり進でいるとのこと。骨に転移しているか核医学検査をする必要があるとの診断だった。
 前立腺の全摘手術は3時間くらいかかり、予後は大変良いが、性の神経を切らないように手術しなければならない点が大変難しいのだそうだ。治療法としては手術が一番いいが、手術が出来ない場合は放射線治療かホルモン療法か、抗がん剤の服用による方法があるそうだ。ホルモン療法では副作用として動脈硬化をきたし、狭心症や心筋梗塞を起こすこともあるようだ。12年前心筋梗塞で、緊急入院し手術もせずに助かったことがある。さて自分の場合はどんな方法をとるのが良いのだろうか。
癌と闘うなんて威勢のい
い強がりは言いたくない。癌は強敵である。死の病でもあるのだからもっと厳粛に受止めなければいけないと思う。癌とは死ぬまで付き合うのだから、仲良くしてゆこう。心穏やかにこれからの生活をしてゆこうと思う。
1週間後に核医学検査を受けた。
癌は骨にまでは転移していなかった、との所見。ただリンパ節へ転移している
かどうかはわからないが、前立腺癌であることは間違いなく、治療法としては摘出手術がもっとも効果的であるとのことだった。
心筋梗塞をやったことがあるので現在の状態を検査することになった。心電図、胸のレントゲン検査,循環器内科の診察、CT、MRI、心臓超音波検査、静脈尿路造影検査をした。
手術をすることの結論を出すことは大変なことなんだと思った。と同時に親からもらったこの身体に刃物を入れるなんて何と親不孝なと、思っていただけに何ともいいようのない気持ちになった。
これまでの検査から手術の必要があるとの最終的告知があった。
9月1日入院、8日手術と決定した。手術は98%安全だが絶対安全だとは言えない、盲腸の手術で一命を亡くす事だってあるとも言われた。
覚悟は出来ているがちょっと心配な点もある。癌は死にいたる病であり、とても太刀打ちして闘うなんて出来るものではないので、逆に仲良くして、出来るだけ長く付き合うような気持ちでいようと思う。
入院前日、入院直前の検査ということで、尿検査超音波検査、MRI、血液検査、止血検査、心電図、胸のレントゲンと続いた。一番参ったのはMRIだった。点滴を打ちながら磁気装置の中に入る。検査が始まると太鼓を続けざまに打つような音、次は建築工事現場でのドリルを打ち込むような騒音が耳元でする。これを5、6回繰り返し1時間位やった。これには参った。
前立腺癌の手術は予後は大変良いそうだ。医学書にも書いてあった。現在は転移は見られないそうだから悪いところをとってしまえば、一番良いのかもしれない。ここまで来たのだから、現代医学を信じ、医者を信頼して手術に賭けることにした。

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